自作キーボードキット「Keyball46」(製作者:電気屋ヨーキース氏)を組み立てたので、そのレポートになります。
表題の通り、自作キーボードキット Keyball46 を組み立ててみました。
自分のための備忘録としても、できるだけ組み立ての内容は細かく記載していこうと思います。
目次
自作キーボードキット keyball46 の紹介
Keyball46とは
40%左右分離キーボードに100%使い勝手の親指トラックボール搭載を目指した自作キットです。
40%分離キーボードの代表格であるCorneに近い配列で、親指キーの一つがトラックボールになったことでホームポジションを崩すことなくマウス操作が可能です。
モーションセンサーをボール背面に配置して出来る限りの薄型化を行い、手首への負担を最小限としています。
https://shop.yushakobo.jp/collections/keyboard/products/consign_keyball46
キットの同梱パーツなど内容物は事前に一通りチェック済み。
Keyball46のビルドガイド
組み立てにあたって、製作者さまが用意されているビルドガイドが非常に丁寧に書かれており、私個人としてはこれを読んで購入前のキット組み立てなどへの不安がかなり軽減された、という印象があります。
気になっておられる方は、ぜひ御覧になってみてください。
keyball/buildguide_jp.md at main · Yowkees/keyball · GitHub
組み立てにあたって用意した工具
工具類の紹介。
左から説明していくと、
- テスター
- 下に敷いてる青いのが断熱マット
- パーツ固定しながらルーペ覗けるやつ
- はんだ
- はんだ吸い取り線
- キースイッチとキーキャップ取り外すやつ
- はんだ吸い取るやつ
- プラスドライバー
- 金属製ヤスリ(模型用)
- ニッパー
- ピンセット
- はんだごて
- はんだごての台
あとここにないもので、ハサミとマスキングテープも使用してます。
雑に記載していますが、使用ツールは以前書いた記事でも紹介したものを流用してますので、詳しくはそちらも合わせてご覧ください。
後述してますが、はんだ付け作業のためゴーグルも合わせてご購入ください。
自作キーボード(hifumi、Soyuz)を作った話 – SIDACONFIG.COM
はんだごての温度はFX-600(使っているコテ)の320℃のツマミにあわせてていいんだっけ?と思いググったところ、下記のような詳しく説明してくれているページが見つかりました。
自作キーボード組み立てに必要な工具 | 自作キーボードのお店 Daily Craft Keyboard
こちらもオリジナルの自作キーボードなどを取り扱っておられるECサイトさん。
はんだごての設定温度も320℃のツマミでよいとのこと。
(後述でありますが、はんだ付けする部品によっては温度を200~270度などに変更して使うこともある模様)
事前準備
マイバイブルである「ここからはじめる自作キーボード」の書が見当たらない…。
自作キーボードの組み立てからはんだ付けや、注意点など共通のことについていろいろ記載されてる本なのだが、散々探して思い出したのは、組み立てたhifumi(6キーのミニキーボード)とともに知人にセットでプレゼントしたのでは?(おそらく布教目的)ということ。
やってしまった…あの本は自作キーボードの組み立ての基礎的なことをいちから説明してくれているので、手元に残しておくべきだった。
仕方がないので、通電チェックやその他諸々の事前準備含めてネットで漁りながらやっていくことに。
どのみち最新の情報を追う場合は、ググってみるのが手っ取りと思います。
キースイッチの導通チェック
導通しているかの確認にテスターを使うのですが、普段からテスターを使うなんてことないのでどこの穴に何色のケーブル指してどう使うのかを忘れていました。
なので付属の説明書を確認。
赤のケーブルをVΩmA~、黒のケーブルをCOMの穴に差し込んでブザーマークにつまみを合わせて導電チェックをする模様。
さっそくやってみます。
上の画像のようにキースイッチ下部から突き出た2本の金属線を、箸のように持ったテスターのプラグ先で挟みながらスイッチを押してブザーがなったら導通チェックはOK。
無事にオレンジキースイッチ50個の導電チェックが完了。特におかしなものは無いようでしたが、ひとつだけ隅にコゲのようなものが見えたものは除外しました。
購入したキースイッチの特徴
Kailh Speed Burnt orange
タイプ:タクタイル
https://shop.yushakobo.jp/products/kailh-speed
動作圧:約70g±10gf
ストローク:3.5mm±0.3mm
接点:1.1mm±0.3mm
プレートマウント(3ピン)
型番:CPG151101D218
Kailh ロープロファイルスイッチ 白
タイプ:クリッキー
https://shop.yushakobo.jp/collections/all-switches/products/pg1350
押下圧:約50g±10gf
動作圧:約60g±10gf
ストローク:3.0mm±0.5mm
接点:1.5mm±0.5mm
PCBマウント(5ピン)
型番:CPG135001D03
主に使っていくのはオレンジのタクタイル、下部に設置する予定のロープロファイルスイッチはクリッキーと、軸の種類を分けてみました。この辺はほぼ興味本位。
組み立て
裏面へのダイオードのはんだ付け
取り付ける基盤には、ビルドガイドに従い表面に目印としてマスキングテープを貼り付けます。
ダイオードは裏面に取り付けますので、作業時にはひっくり返します。
写真で見てわかる通り、かなりダイオードは小さく、はんだ付けする方向も決まっているので、盤面をジッとみながらの作業となりました。
記載してないのですが、顔を近づけるため万が一溶けたはんだが目などに飛んでこないよう、ゴーグルも合わせて使用した方が良いです。
私は失念してそのまま作業しておりました…。
基盤に印字された三角矢印の指す方向と、ダイオードの端に印字された縦線それぞれ向きを合わせてはんだ付けしていきます。
ジャンパのはんだ付け
ジャンパという箇所(基盤のちょうどロゴの下にある4点)のはんだ付けになりますが、「=」のようなところにはんだを繋ぐように盛り付ける(ブリッジさせる)必要があります。
なかなか2点が繋がらず基盤に焦げを残してしまったので、コツを知りたい。
4連ピンソケット、TRRSソケット、タクトスイッチのはんだ付け
一応わかりやすいように、ビルドガイドと同じく並べてみます。
それぞれの基盤の表面にはめ込みますが、四連品のみ浮くため、マスキングテープで仮止め。
裏面からはんだ付けして固定します。
ProMicroのはんだ付け
ビルドガイドどおり、向きに注意して取り付けていきます。
今回私がつかうのは、スイッチサイエンスで販売されている「背の低いコンスルー」ならびに「スイッチサイエンス版ProMicro」を使用。
これもなんとなくで選択しましたが、使用の際に問題が出た場合、予備として買っておいた通常のProMicro(青基盤)およびコンスルーを使用するつもり。
今回はそのまま完成に漕ぎ着けたので、通常のProMicroは余ることとなりました。
コンスルーは写真の上がProMicro側ではんだ付けする、下がPCB側ではんだ付けしない(差し込むのみで取り外し可能)格好となる。
自作キーボード初心者だからなのか、ここでProMicroを逆さ?にしてつけてるのはなぜなのだろうと思った。
(スイッチのついてる面が下を向くため)
リセットボタンであるタクトスイッチは別で付けているから問題は無いのだが、それぞれの端子の穴に役割が決まっているので、これで正解なのだろう。
左手基盤へのOLEDはんだ付け
左手基盤、ProMicroの下に指した4ピンソケットに、4ピンヘッダを刺してそこにOLEDをはんだ付けする。
ヘッダにはんだ付けするため、4ピンソケットから抜き差しが可能になる。OLEDに不備があってもこれなら取り替えが可能。
右手基盤にも同じようにOLEDが取り付け可能だが、実装しなくても問題無い様子。自分はキットに2つOLEDが付属していたため、最終的にどちらにも搭載しました。
ビルドガイドによると「左手基盤には標準でOLEDが搭載可能」と記載があったが、右手につけてみてもなにも表示されないとかそんなことは無く使えた。
動作確認用のファームウェアの書き込み
ビルドガイドでは、ここでテスト用じゃなく本番のファームウェアを実装してもいいよと書かれていましたが、せっかくなのでテスト用のファームウェアを書き込みます。
私の場合、ビルドガイドに記載のあったQMK Toolbox をダウンロードしてきても、うまく書き込めなかった(ProMicroは認識されているが、resetボタンを押してもAuto-Flashによる書き込みが始まらない)ため、ググって遊舎工房さんのサイトから見つけた Pro Micro Web Updater なるブラウザから書き込めるサイトを使用してみた。
なんて便利なものがあるのだろう…、ただしChromeからのアクセスを推奨されていたため使用ブラウザにはご注意を。
そちらを使用してみたところ、無事に書き込めた!左手基盤からはじめて、OLEDの点灯も確認。
しかしキーをショートさせてみると、左手基盤なのに右手キーの文字が入力される…書き込むファームウェアを間違えたかな?と焦るものの、選択したファイルは間違っていない様子…。
これはもしやと思い、とりあえず右手基盤のProMicroも同様にファイルを右手用の動作確認のものに変えてファームウェアを書き込んで見る。
ファームウェア書き込み後、まだテスト用のファームウェアだそうだけど大丈夫かな?と思いつつも、右手基盤にUSBを指し、両基盤をTRRSケーブルで接続したところ、左手基盤のOLEDが点灯!
キーの部分をピンセットでショートさせてみると、テキストエディタに文字が入力された。しかもちゃんと、左手基盤は左側に位置するキーが入力される。
どうやらファームウェアの書き込みは無事に成功したようだ。
アンダーグロー用LEDのはんだ付け
オプションとして自分で別途購入の必要があるが、アンダーグロー用LEDを取り付けが可能とのことで、試しにと思い該当パーツを買ってみたためはんだ付けする。
と思ったが、ビルドガイドに「難易度高いしなくても使用できるから、とりあえず完成させることをおすすめします」と書かれていたので、自作キーボード初心者の私は言われたとおり、まずは完成させることにした。
キーソケットのはんだづけ
こちらのはんだ付けもなかなか難しかった。ダイオードと同じく先にはんだを片側に溶かしてのせてから、ソケットを合わせ、さらにはんだ付けして固定していったが、いくつかはんだ付けし終わってからやや片側が浮いて傾いていたりするものがあった。
なのでピンセットで上からしっかりと抑えてはんだ付けした。
ロープロファイルソケット(Kailh choc)のはんだ付け
ロープロファイル用のキーソケットを、自分は好みで基盤下部のところに取り付けた。
向きが決まっているようなので注意。自分はあとから調べてヒヤッとしたが、たまたま向きが正解だったようでホッとした。
ボール読み取り基板の組み立て
今回私のもとに届いたものは、すでにはんだ付けがなされたものだったようなので、この手順は飛ばし、ビルドガイド「4-2. L字コンスルーのはんだ付け」へと移動する。
左手基盤に左右判定ジャンパーをはんだ付け
リード先端材かピンヘッダを抜いて使って(ジャンパさせて)ねとのことだったので、あり物で用意する。
使ったのは、ラズパイ用として買っていた電子部品がたくさん入っているキットからリード線を拝借。
ピンヘッダが余ってるのでそちらを使っても良かったかもしれないが。なんとなく。
ロープロファイル仕様で組み立てる場合は~との記載もあったが、自分がロープロファイル化するのは最下段のみなので、おそらく関係ないかな?と思うものの、一応そちらに記載されている通りやろうと、リード線をハンダが盛り上がらない形でカットしてはんだ付けすることにした。
トッププレートのカット
ロープロファイル用のキーにしない(高さを変えない)場合は、とくにカットの必要は無いです。
手順としては、ニッパーでカットし、金属製ヤスリで飛び出たところをヤスるというもの。
削ったときに粉塵がでるので、基盤などはいったん片付けて、ティッシュなど受けを用意して作業することを勧めます。
保護プレートの取付
OLED、またはProMicro部分に取り付ける保護用アクリルプレート。こちらは付属の9mmスペーサーを基盤裏側からネジ止めし、表面に戻してアクリルプレートをネジ止めする。
トッププレート組み立て
裏面から7ミリスペーサーと4ミリスペーサー(ロープロファイル部分用)をネジ止めしたトッププレート四隅くらいにキースイッチを取り付け、基盤に装着していく。
この段階でキーソケットにキースイッチから伸びた端子がしっかりと刺さることを確認する。
ボトムプレートの組み立て
ボトム用のアクリルプレートを、トッププレートから伸びたスペーサーにネジ止めします。
また、この取り付けをするとアンダーグロー用のLED搭載する際にまた取り外しが必要となります。
なので自分は(後述しているが)この作業の前にLEDのはんだ付けを済ませました。
トラックボール読み取り基盤の取り付け
キット付属でL字になっているコンスルーの、U字(というかV字?)になっているピンに読み取り基盤を取り付けるため、棒状になっているほうは本体基盤に差し込み、(ぐらつくため)マスキングテープで仮止めしながら本体基盤裏側からはんだ付けします。
ボール読み取り基盤差し込み
はんだ付けしたL字コンスルーに読み取り基盤を差し込みます。
トラックボールケースの組み立て
付属のトラックボールケースを組み立てます。
2点の白いケースを、まずは上下を合わせてからネジ止め、という手順。
ケースにはセラミックボールが三点固定されているが、紛失している場合は予備のセラミックボールを適当なボンドで固定してねとのこと。
付属の少ネジを使用(平頭のねじではない模様)して、ケースを完成させます。
トラックボールケース装着
とくに引っかかることなく、読み取り基盤の上から被せるようにすれば、問題なく取り付けられるはず。
もし、上手く被せられない場合は、無理に押し込まずに1度取り外してよく確認しながら作業し直して見てください。
ボトムプレート側からネジ止めしてケースを固定します。
キースイッチのはめこみ
ビルドガイドでいうところの総仕上げ、購入したキースイッチをはめ込んでいきます。
はんだ付けされたキーソケットに、キースイッチ側の端子がしっかり差し込まれるよう、向きを確認しながら取りつけていってください。
ロープロファイルのほうも、向きを間違えずに取り付け。
右手、左手基盤ともにキースイッチを取り付けてこの作業は完了。
キーキャップ取り付け
ここまでできたらキーキャップ取り付けてもいいんですが、ファームウェア確認と動作テスト、キーの設定し直しなどあるかなと思い、自分はまだ取り付けずにおきました。
正規ファームウェアの書き込み
すでにテスト用ファームウェアを書き込んでいる場合は、上書き処理が必要になります。
再度Pro Micro web Updaterにて作業します。
resetボタンの2度押しでBootLoaderモード(再書き込み用?のモード)へと移行できるようで、上書きするファイルを選択→flashをクリック→接続中のkeyball46を選択し、ファームウェアを上書きすることができました。
組み立てで気になった点とか
右手基盤へのOLEDの取り付け
ビルドガイドのほうで、こちらについては特に言及なかったんですが、左手基盤と同じくこちらの4ピンヘッダを通してOLEDをはんだ付けすることで
アンダーグロー用LEDのはんだ付けにチャレンジ
どの段階でこれにチャレンジしたかというと、ボトムプレートの取り付けのところでこの作業したらちょっと戻るの面倒なのでは?と思い実行した。
「完成させてからがおすすめです」という言葉の圧を感じながら、いやでも光らなかったらまぁそれも失敗談として載せようとか思いながら、完成のテストをさておきLEDの取り付けへと進む。
全部のはんだ付け(片手基盤に7つずつ計14個)が終わったので、いよいよUSBをつないで点灯させてみる。
・・・どうやら右手基盤は全滅、左手基盤は4つ目からが点灯してない様子。
LEDは直列、とのことなのでそれぞれ光ってない箇所のLEDを取り外し、新たなものを取り付けて再試行してみる。
光った!なんと二度目の試行ですべて点灯という幸運を手にした。
最悪、初めての取り組みだしここ直してもまだ光らなそうだな~とぼんやり思っていたので行幸でした。
もしかしてMX用もロープロファイル用のソケットどちらもはんだ付けしてよかったのか問題
知人に聞いたところ、問題ないらしい。
今回はまぁ構わないけど、どちらもはんだ付けしておけばキースイッチ交換し放題だなと思った。
ソケット代がかさむけれども。
最後の動作確認などなど
キーキャップ取り付けを覗いた全てが完了した状態で、キーテスト用のサイトなどを使いながらタイプテストをしていきましたが、「D」キーが効かないということが判明…。
ボトムプレートを取り外し、再度ソケットとダイオードどちらも念の為あたらしいパーツに付け替えて確認し直したところ、無事動作しました。
原因としてはたぶんですが、片方のはんだを溶かしたらすぐに取れたのもあり、ダイオードのはんだ付けが甘かったのではと思いました。
完成
キーキャップも取り付け、これにて完成!
しかし何種類かキーキャップを購入していたためどれにするか迷いました。
余談とか
上のツイートだと28票の投票をいただき、2枚目のやつと3枚目のHawaiiくんが競り合ってました。
投票いただいといてなんですが、個人的にはパキッとした色になってる2枚目のやつが好きです。
おわりに
以前組み立てたのは6キーのhifumiというものから、10キーのSoyuzという自作キーボードキットでしたが、いよいよ40%かつ左右分割のものに手を出してみました。
いやーさすがのはんだ付けの量で、電子部品ダメにしたら怖いなと思いながらやってましたが、なかなかスムーズに作業出来たんじゃないかと個人的に思います。
飛騨高山に実店舗オープン!
なんと実店舗がオープンしました。
今回組み立てた Keyball46 の製作者さまが、飛騨高山に実店舗をオープン。
購入の段階では自分はそれを知らず、自作キーボードキットを買ってから情報を掴んだため、開店予定日とされていた新年明けての1月3日はどうにもソワソワしておりました。
今の住まいとは距離があるが、いずれ来店してみたいです。
以上となりますが、記載内容への不備やなにか要望がありましたら、コンタクトページのメールフォームよりお問い合わせください。